テレワークによるオフィスコスト削減の事例

D製造業株式会社の事例

在宅勤務
ポイント
  • ・営業、総務、経理等を完全バーチャル化し在宅勤務を導入することで、事業所の一部を廃止
  • ・低価格のソフトウエアやコミュニケーションツールを利用し、在宅勤務導入コストを2ヵ月で回収

1.制度の導入時期、きっかけ

当該株式会社は、無線事業やLED照明事業を行っている製造業です。オフィスコストを削減し、固定費の大幅な削減による経営リスクの減少を目指し、2009年より、テレワークの全面的な導入による本社組織のバーチャル化を行い、東京事務所を完全に閉鎖し、東京事務所の従業員には全員テレワークを義務付けました。

経営者自らがビジョンの作成とそれを実現するための方針、システムツールの採否を決定し、市場環境が求めるスピードと柔軟性を兼ね備えた組織を創るため、ICT(情報通信技術)を積極的に活用した新しいタイプのネットワーク型組織を構築しています。利用したシステムは、ほぼ全てが汎用システムで、カスタマイズしたのは、承認プロセスのフロー等小規模に留めました。コミュニケーションツールも無料又は月々の利用料が1万円以下の低コストのツールを採用し、以前のような高額なコストを掛けずにテレワークを導入しています。

2.制度の内容

対象部門営業・総務・経理等の東京事務所の社員全員
対象人数8人
実践内容東京事務所の廃止に伴う在宅勤務制度の導入で、東京地区の全従業員が毎営業日、在宅勤務を実施。労務時間管理はクラウドコンピューティングで実施。多彩なコミュニケーションツールを利用しています。
承認基準承認は特に必要としていません。

3.テレワーク実施環境

クラウドコンピューティングなどを利用

4.制度導入に当たっての課題と解決策、導入のポイント

労働時間管理はクラウドコンピューティングで実施

労働時間管理は、クラウド上で給与計算システムと連動した就業管理システムを導入し、ウェブ上で打刻、残業申請、休暇届などを提出、上長の承認を得る仕組み。あわせて、従業員はクラウド上のタイムシートに30分単位で業務内容を書き込む運用を行っています。

オンライン決済システムの導入

すべての稟議申請、経費申請を、パソコンやスマートフォン等から、オンラインで実施しています。

多彩なコミュニケーションシステムの設置

スカイプ等を利用しWEB会議を頻繁に行うだけでなく、チャットやTwitter、Facebook等の利用を進め、インフォーマルなコミュニケーションを実現。通常のオフィス環境で休み時間に会話するように、社員間で仕事以外のプライベートなこともやり取りされ、フォーマルコミュニケーションを円滑に行うための下地を築いています。

社内文書はクラウドコンピューティングで管理

社内文書のうち、法令上原本保存が義務づけられていないものや購読雑誌・技術文献等は、電子化した上でクラウドサーバーの書庫に保存し、従業員がいつでも閲覧できる環境を整備。膨大な社内文書の電子化は、外部業者に委託しました。

5.テレワーク導入後のメリット

テレワークの導入目的は、組織戦略的利用による経営改革で、ICTを活用したネットワーク型組織として外部パートナーと内部の従業員の区別なく、競業体制を構築することが可能になりました。

特に、本社機能のバーチャル化による経済効果は、会社全体の年間固定費の約30%にあたる5600万円を削減することができたことです。一方、本社機能のバーチャル化に要した費用は約1000万円程度で、約2ヶ月で回収できたことになり、テレワークの導入はオフィスコストの削減に大きな効果をもたらしました。

固定費の大幅削減、バランスシートの軽量化を実現することで、スピードと柔軟性を兼ね備えた組織を構築することができました。

テレワークによるオフィスコスト削減の事例2

Eコンサルティング株式会社の事例

ポイント
  • ・オフィスの移転に伴い、テレワークを導入し、移転後のオフィススペースを削減
  • ・オフィス出勤時にさまざまなスタイルでコミュニケーションを円滑にはかることができるように、円形グループ用デスクや多目的スペースを用意

1. 制度の導入時期、きっかけ

2007年に「オフィスや自宅等の場所にとらわれず、ICTツールを最大限に活用し、ハイパフォーマンスなワークスタイル、ならびにワークライフバランスを実現する次世代の働き方」を全社員を対象に展開することを宣言し、その一つの働き方として在宅勤務制度を取り入れ、柔軟に働く環境を構築しています。

在宅勤務では特に「帰属意識を高める」ことを念頭に置き、オフィス壁面に「オフィスメッセージ」を掲げ、企業風土の浸透を図る等の工夫をしました。円形グループ用デスクを設け、顔を会わせながら作業を進めることができるような配慮もし、他部署との交流やオフタイムの歓談にも使用できる多目的スペースやラウンジ等を用意しています。

また、管理職クラスの意識改革が必要だと考え、いつでも在宅勤務とコミュニケーションがとれるITツールを導入する等の環境整備を行う等の工夫も行っています。

2.制度の内容

対象部門経営管理本部の入社6ヵ月以上の従業員(契約社員も含む)
対象人数4000人
実践内容週に16時間を上限として、在宅勤務を認めており、2週間に一度、2週間分の利用希望日を上長に対してメールで申請します。16時間の範囲内であればいつでも利用でき、午前中のみ、午後のみ在宅勤務も可能です。
承認基準所属の上長の承認が必要です。

3.テレワーク実施環境

1)オフィス環境
  • ・フリーアドレス制を導入
  • ・厚生労働省VDTガイドラインをもとにしたチェックリストを作成し、自宅の就業環境について各自で確認する。
  • ・椅子、照明、キャビネットに関してオフィスで使用した中古品を在宅勤務者に無償提供
2)情報インフラ整備
  • ・ノートパソコンの暗号化
  • ・VPN接続
3)情報セキュリティ
  • ・ISO27001の運用ルールを踏襲

4.制度導入に当たっての課題と解決策、導入のポイント

マネジメント視点の効果測定

テレワークの導入だけにとどまらず、持続的に運用していくために、会社にとってメリットのある制度であることを検証し、業務処理件数、1件あたりの処理時間、移動コスト、オフィススペースコスト等の効果測定を定期的に実施しています。

利用者の拡大

「生産性の向上」「コスト削減」の実現には、一部の従業員が利用する状況では難しいと考え、在宅勤務を利用しにくい要因のアンケートを実施しています。特にテレワークに対する理解度の問題が多く、テレワーク対象者のみならず関係者全員に対して、制度の目的と効果、制度内容、テレワークの利用事例等の説明会を開催しています。

コミュニケーションツールの活用

オフィスに一緒にいれば可能な、ちょっとした相談や面と向かっての会話ができなくなるため、新たなICTツールを導入しています。

5.テレワーク導入後のメリット

事前調査の段階で1日当たり対象者の10%強が在宅勤務をすると想定し、その分を見越して、オフィスの移転時にオフィススペースを削減しました。これにより年間約1500万円程度のオフィスコストを削減することができました。

また、残業時間について、勤務時間の実績データを検証したところ、在宅勤務制度導入前に比べ、導入後は1人当たり平均8.5時間(月あたり)減少し、年間約3,000万円の時間外手当コストが削減されています。

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