テレワーク導入

これまでテレワークを導入していない企業が、初めてテレワークの導入を検討する際のおおまかな流れは下の図の通りです。

導入の検討と経営判断(導入目的・基本方針の策定)
現状把握
導入に向けた具体的推進(プロジェクトチームによる)
導入範囲、形態など基本戦略の明確化
テレワークに関する社内ルール作り
情報通信システムの活用によるテレワーク環境の向上
テレワーク導入にあたっての教育研修
試行導入
試行導入の効果測定(問題点の発掘)
テレワーク本格導入

導入の検討と経営判断

ポイント
  • ・トップマネジメントのコミットメントとリーダーシップ
  • ・ミドルマネジメントの理解と協力

まずテレワークを導入するにあたっては、目的・ねらいを明確にすることが重要です。目的・ねらいを明らかにすれば、どのような効果が期待できるかも自ずとはっきりしてきます。また、目的・ねらいによって、どのような部門を対象として、どのような形態のテレワークを導入するかが異なりますので、適切なテレワークの形態(在宅勤務なのか、モバイル勤務なのかなど)を決めることも必要です。

目的・ねらいを明確にし、どのような範囲で、どういった形態のテレワークが適しているか等の導入の基本方針が決定したら、トップマネジメントの理解を得ます。企業によっては、トップマネジメントからの指示でテレワークの導入を検討するケースも見られます。一方、オフィスワーカーからの要望などに基づき、人事部門などがテレワークの導入を検討するケースも数多く見られます。いわゆるボトムアップによるテレワークの導入です。こうした場合には、トップのコミットメントを明確にした上で、導入の検討を進めることが重要となります。テレワークは、働き方そのものの変革であり、その企業の働き方の「文化」や「哲学」といったものを変えていくことになります。その意味からしても、トップマネジメントのコミットメントとリーダーシップが非常に重要です。

導入の検討と経営判断

トップマネジメントのコミットメントが確約されたら、ミドルマネジメント(部長あるいは課長クラスの方々)の理解や支持も必要です。実際にテレワークが導入された場合、様々な面でテレワーカーの管理を担当していくミドルマネジメントの役割は極めて重要です。テレワークの成否はミドルマネジメントの対応にかかっているとも言えます。

現状把握

ポイント
  • ・規則、評価制度など改正が必要な問題点・課題を把握

トップマネジメントやミドルマネジメントの理解が得られたら、具体的な検討の段階に進みます。

まず、社内のテレワークに関連する仕組みや制度がどのようになっているか、現状を把握し、改革や改正が必要な問題点・課題を把握します。これらの中には、就業規則及び関連する
・ 社内の諸制度(特に就業時間管理制度など)
・人事評価制度(目標管理制度や成果に基づく評価制度など)
・ICT環境
・日常的な仕事の進め方
・労働組合がある場合には労働組合の考え方(労働組合がない場合には従業員の考え方)
などが含まれます。

導入に向けた具体的推進

ポイント
  • ・できるだけ広範囲な関係者によるプロジェクトチームづくり
  • ・さまざまなサポートシステムの構築

テレワークは、マネージャーとテレワーカーの間でテレワーク実施に関する合意ができれば、すぐにでもスタートできます。しかし、大規模に導入する場合などは、周到な準備をしておかないと混乱を引き起こして、導入に失敗するという結果にもつながりかねませんので、プロジェクトチームを設置し、社内体制を確立した上でスタートすることが重要です。プロジェクトチームは、経営層の権限委譲を受けて、テレワーク導入にあたっての基本戦略、導入計画を策定するとともに、社内での共通理解が得られるような方策を立て、計画の実行管理をします。テレワークにあった社内制度の作成、社内情報通信システムの整備、また教育・研修の実施などは、重要なサポートシステムの項目です。

導入に向けた具体的推進

プロジェクトチームには、以下のような関連する部門に参加してもらうことが考えられます。
・人事部門
・総務・管財部門
・情報システム部門、情報セキュリティ部門
・導入対象となる部門のマネージャーやオフィスワーカー(の代表)など

試行導入

ポイント
  • ・期間を限定しての試行実施

試行期間は企業によって様々ですが、おおむね半年から1 年程度の期間をかけるところが多いようです。試行期間中にどのような点に留意してチェックしていくのかも決めておいた方が良いでしょう。テレワークの効果を判定するためには、設定した評価項目について導入前の調査を実施し、例えば成果判定の基準(ベンチマーク)を設定しておくことなどが考えられます。テレワークの導入前に、テレワーカー、マネージャー、そしてテレワーカーの同僚でテレワークを行わない人を含めて、部門の全員を対象に事前調査を行います。試行期間が終了する時点で、マネージャー、テレワーカー、同僚などからの意見やコメントを収集します。

試行導入を受けての効果測定

ポイント
  • ・試行期間の実態把握と利害得失・問題点の把握と解決

一般的にはアンケートとインタビュー調査で試行期間中の実態報告と評価をしてもらい、その中から解決すべき問題点を明らかにしていきます。同時に、テレワークを実施して効果が上がった点も把握する必要があります。

これらの調査結果を基に、本格的な導入に向けた道筋を作ることになります。試行期間の結果については、先に設置したプロジェクトチームで検討していく方法が良いでしょう。

試行導入を受けての効果測定

テレワークの導入にあたって主たる目的とした事項を中心に評価項目を設定します。ただし、テレワークの効果は多岐にわたりますので、副次的効果についても評価項目を設定します。評価項目は、数字で定量的に評価できるものが望ましいのですが、直接に数字としてあらわれない項目については段階評価(3段階、5段階等)によって数値化を図ります。定量的項目の集計は1週間あるいは1ヵ月単位で集計します。評価に使える項目は、業務内容によって変わってきますから、以下に示す例を参考にして部署ごと、あるいは、業務ごとに選定する必要があります。

定量的評価の可能な項目の例
項目 指標
顧客対応 顧客対応回数、顧客対応時間、新規契約獲得数顧客訪問回数、顧客訪問時間
事務効率 伝票等の処理件数、月例報告等の作成時間企画書等の作成件数、企画書等の作成時間
オフィスコスト オフィス面積、オフィス賃借料、オフィス付随費用紙消費量(削減量)、コピー費用
移動コスト 移動時間、移動コスト(通勤を含む)
情報通信コスト 情報システム保守費用、通信費用
人材確保 応募者の数や質(採用したい人材の応募数)、退職者数
オフィス改修コスト オフィス改修コスト
引っ越しコスト (引っ越しがともなう場合には)引っ越しコスト
段階評価が必要な項目の例
項目 指標
業務プロセス 情報共有度、仕事の質、生産性
顧客サービス 顧客満足度
コミュニケーション 垂直方向・水平方向のコミュニケーション頻度、質
情報通信システム システムの機能・能力についての満足度
情報セキュリティ セキュリティ意識、ルールの整備度
業務評価 評価に対する被評価者の満足度
自律性 業務の自律管理
働き方の質 仕事に対する満足度、通勤疲労度、働き方に対する満足度
生活の質 私生活の満足度(家族との団欒、住居、趣味、地域活動等)

本格導入

ポイント
  • ・本格導入時点では、テレワークの制度を整備する
  • ・本格導入後も随時実態や問題点の把握と解決を欠かさない

試行期間中の評価を経て、テレワークを導入する目的・ねらいが十分期待できるような仕組み・制度となるよう調整作業などを行い、本格導入を図ります。

試行段階で、テレワークに関する社内の制度化を行っていなかった場合には、本格導入にあたって、テレワークを適切に運用するために、テレワーク制度(テレワーク実施規程など)を作っておくことが望ましいでしょう。

本格導入に踏み切っても、一定期間ごとに実態や問題点がないかなどを把握していくことが重要です。

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